母の話
先日、とある話から母自身の産後の話になり、母が堪えきれず泣いてしまうということがあった。
実家は青果店を営んでいるが、昔私を産んだ頃、母は姑である私の祖母と父と一緒に店先にたっていた。
それは産後数か月後ころからで、誰も家事育児はサポートはしてくれなかった。
それどころか、私が泣くと、「何泣かしてるの!?」と祖母に言われた。
お店は3キロ以上もある私をおぶって。
家に帰っても忙しくて、ご飯は食べられない。
もう辛くて辛くて仕方がなかったそうだ。
お風呂のなかで毎日泣いていた。
実家に帰っていた産後1ヵ月まで出ていた母乳は出なくなってしまい、限られた少ない生活費のなかからミルク代を出さないといけない。勿論、母が自由に使えるお金も時間も一切ないだろう。
痩せ細った母を周りの人が心配してくれたが、祖母は「もともと細いから」と気にも止めなかったらしい。
他にもお嫁さんはパートとは違ってタダ働きさせられるとか、自分の自慢の息子(私の父)との学歴の差を言われたりと、かなり辛く当たられたらしい。
時代の差こそあれ、あまりの過酷さに言葉を失った。
母乳が出なくなってしまった母は、とんでもなく悲しかっただろう。
終わりが見えない日々のなかで、周りの人が褒めてくれることが救いだったそうだ。
今の時代はTwitterなどのSNSで発信できる環境もあることから、男性も育児参加すべしという流れになってきているかと思う。
けどそれまではきっと、こんな女性がたくさんいたんだろう。
そしてそれが当たり前だからといって、愚痴をいうことすら憚られたのかもしれない。
頑張り抜いた彼女らに称賛を。
そして、流れを変えようと行動をしてくれた人々にも。
私たちの生きやすい世界は、これまでに生きてきた人たちによって成り立ってるのだ。